図書館で借りた本

前者は坪内氏のライフワークとでもいうべき近現代の歴史に関する評論集。もっとも私は政治的関心が薄いミーハーなツボちゃんファンなので、評論の合間に挟まる個人史的なエピソードを楽しませてもらった。クイックジャパン誌と毎日新聞の連載が単行本にまとまるのが楽しみでならない。
後者は三島個人と深い交流があったフランス文学者による評伝集。恐縮ながら三島由紀夫の作品を一作品も読んでいない不逞な私などが読んでも面白い。個人的交流の深さが伺えるエピソードもさることながら、一文学者の誠意あふれる態度で個々の作品について解題を行なっているところに好感が持てる。時代をぶった切るようなスキャンダルに埋もれた三島の魂を掬い上げ、真摯に語りかけているように見える。三島が政治的関心に傾く前の、欧州文化について語り合った日々についての記述はとても切ない。