『比呂美−毛を抜く話』/制作 1981年(渋谷シネマテーク)

『比呂美−毛を抜く話』

「長編実験映画の快楽」というイベントで上映されるという情報を得たので、さてどんなもんかとオカザキなをさんに聞いたらなかなか観れるものではないそうなので行ってきた。
◆参考◇監督の鈴木志郎康氏による内容紹介
http://www.catnet.ne.jp/srys/films/hiromi/hiromi.html


自らも詩人である監督が、この時期の伊藤比呂美という詩人の姿を映像で遺しておいてくれたことにとにかく感謝したい。彼女の作品を意識して読むようになったのは93年くらいからで、ご多分にもれず『良いおっぱい 悪いおっぱい (集英社文庫)』で衝撃を受けてから詩集を探したりしていたのだが、その時点から10年さかのぼった彼女はゆでたまごのようにつるんつるん*1してまぶしいくらいだった。エッセイなどから垣間見える姿とまったく変わらず、毛を抜く行為、女の切腹を見て興奮することについてしゃべっていた。詩の印象ほど強烈ではないが、喚起される感情は同様なものだった。予備知識なしに観た男性はどう感じただろうか。少し残念に思ったのは、毛を抜く話をしている時に、監督さんが何とか話を着地させようと誘導っぽい言葉を投げかけていたことだ。それを受けて彼女が「うーんそういわれればそうかもしれない。」と返していたのだが、もしできれば自ら的確な言葉を見つけてくるまで待ってほしかった。
あとはピントがきてない映像が多くて肩が凝った。演出かわざとかまではわからない。疲れてしょうがないので目を細めてモザイク消しの要領で観ていた。
内容と関係ないことで、彼女の当時飼っていた猫のぶさいくっぷりに萌えた。ああいうのをこころゆくまで転がして腹のほうをわさわさ撫でまくりたい。ブラボー駄ネコ。


その前に松本俊夫監督*2の『西陣』『石の歌』を観た。実験映画ではあるが編集がよかったせいか、まったく退屈しないで観れた。TBSが出資して制作したというのが意外であった。


上映の合間に南青山の「岡本太郎記念館」に行き、隣の喫茶店で念願のアップルパイを食べた。ここのケーキはどれでも昇天しそうな旨さ。甘すぎず薄すぎずのギリギリ内角を攻めてくる。オカザキさんが頼んだフレッシュハーブティーは見た目も香りも爽やかですばらしかった。その帰りに近道しようとして見事に迷ってしまった。申し訳ない。


渋谷の「唐そば」でラーメン食べてから帰宅。

*1:ついでにいうとねじめさんは腹回りたぷたぷさせながら詩を朗読していた。四方田さんはほとんど変化なし。年取らない顔なのか。

*2:映画『ドグラ・マグラ』の監督