イラクで拘束された重体の日本人男性は陸自空挺団出身者

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050510-00000205-yom-soci


そのうち消えちゃうと思うのでコピペして引用。

斎藤さん、仏外国人部隊に21年…陸自空挺団の出身


 テロや武力衝突が相次ぐイラクで10日未明、日本人がまた拘束されたという情報が飛び込んできた。被害に遭ったのは、陸上自衛隊の中でも精鋭とされる空挺(くうてい)団に所属していた斎藤昭彦さん(44)(本籍・東京)とみられる。


 邦人が、米軍の警備業務を受注した民間会社から紛争地帯に派遣されるのは、政府にとって全くの想定外。第一報から半日以上たっても、消息に関する情報はほとんどなく、対応にあたる外務省幹部は苦渋の表情を浮かべた。


 「びっくりして言葉が出なかった。10年ほど前に会ったのが最後。兄はその時、外国でエンジニアをしていると言っていたのに」


 斎藤さんとみられる日本人が、イラク武装勢力に拘束されたとのニュースが流れた10日朝、千葉市花見川区の住宅街にある斎藤さんの実家では、弟の博信さん(34)が、インターホン越しに報道陣に応対した。


 外務省から電話で連絡があったのは同日午前2時。パスポートの映像で本人と確認したという。「本人は危険を百も承知で行っていると思うが、大変迷惑をかけて申し訳ない」。博信さんはそう話した。


 斎藤さんは3人兄弟の長男で、実家には、父親と三男の博信さんの2人が住んでいる。


 近所の主婦(68)は「昨年春、お母さんが亡くなった時も斎藤さんの姿は見なかった。20歳過ぎに見たのが最後で、寡黙でおとなしい感じの人だった」と話した。


 外務省幹部によると、斎藤さんは、1979年に陸上自衛隊に入隊した。北海道の部隊などでの勤務を経て、80年8月からは、習志野駐屯地(千葉県船橋市)の第1空挺団に配属され、約半年後に退職したという。


 第1空挺団は、輸送機などから落下傘で隊員や物資を降ろし、任務を遂行する陸自唯一の落下傘部隊。危険と隣り合わせの厳しい訓練を重ねることで知られ、能力や練度の高さから、陸上自衛隊の中でも精鋭部隊とされている。


 その後、斎藤さんは21年間、フランスの外国人部隊に勤務し、海外での戦場を経験した。この間、連絡先は、フランス南部のマルセイユにしていたという。


 防衛庁では「自衛隊を退職した後に外国の警備会社に勤めたケースは把握していない」としているが、関係者によると、過去には、第1空挺団を辞めた隊員が、斎藤さんと同じように海外の傭兵(ようへい)部隊に入った例もあったという。同駐屯地では、被害に遭った邦人が斎藤さん本人かどうか確認を急いでいる。


(読売新聞) - 5月10日14時4分更新



『サムライ・ノングラータ』(原作:矢作俊彦/作画:谷口ジロー)という漫画の主人公の設定とあまりに似ていてびっくりした。陸自の空挺団 →仏国の外人傭兵部隊 というのは新谷かおるとか浦澤直樹のマンガではお馴染みの設定だけど、現実にこういう形で目にするとは思いませんでした。


民間警備会社ハート・セキュリティーってのは『砂の薔薇』で言うところの「CAT」のイメージにかなり近いのでは(こっちは民間の対テロ専門傭兵)。


ついでにこの記事も貼っとこう。

実態見えぬ警備会社、イラクで米軍から業務委託


 【カイロ=柳沢亨之】イラク武装勢力に拘束されたと見られる斎藤昭彦さん(44)は、米軍の業務委託を受けていた英警備会社ハート・セキュリティー(本社・ロンドン、キプロスなど)の従業員だった。


 単純な警備にとどまらず軍事分野でも活動を行う警備会社は、「民間軍事会社」とも呼ばれ、イラクで多数が活動している。ハート社は、その中でも最大級。バグダッドと南部バスラを拠点に、イラク戦争開戦以降、イラク国内で活動する外国企業や英BBCなどの報道機関の警備を行ってきた。


 ハート社のホームページによると、警備の対象は、人員、施設など広範にわたり、1月のイラク国民議会選挙の際には、連合軍と共に各地の警備を担当。また、イラク国内で再建された350キロにわたる送電線を襲撃から守るとともに、同施設警備のため、イラク軍兵士1500人を訓練し、成功したとしている。


 警備会社は、イラク戦争と戦後の復興で、不可欠の役割を果たしている。その背景には、人件費削減を目指す米軍などが業務委託を進めたことがあるが、その活動実態は、見えにくい。多くは、要人警護に加え、ハイテク兵器の運用、物資の補給、イラク治安部隊の教練、石油パイプラインなど重要拠点の警護などにも従事。実戦に参加しているとの情報もある。


 米ブルッキングス研究所ピーター・シンガー研究員は、イラクで活動する「民間軍事会社」従業員を2〜3万人と推計する。一つのグループととらえた場合、駐留米軍約14万人に次ぐ規模だ。2004年4月には、中部ナジャフで、米国のブラックウオーター・セキュリティー社社員8人が、シーア派の反米指導者ムクタダ・サドル師支持者と見られる数百人の武装集団と交戦。実戦部隊としての能力の高さを実証した。


 イラクで活動する警備会社は、高額の給料にひかれて入社する元特殊部隊員らが多いとされる。元特殊部隊員ともなれば、日給1000ドル(約10万5000円)が支払われるという。


 一方で、警備会社の活動には問題も指摘されており、アブグレイブ刑務所でのイラク人収容者虐待に関与したと米兵が証言している。だが、警備会社関係者の罪は問われていない。


(読売新聞) - 5月10日14時44分更新

しかしこういう人を強制帰国させても、その後落ち着いてから国内に居場所が得られるのかどうか。あとご家族の方には申し訳ないけど、国税を費やして国家的に保護するべきなのだろうか。民間人とは言っても戦場でメシを食ってるわけで、かなり特殊なケースにあたるのではないか。
とにかく無事であることをお祈りします。

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2005/05/11 身柄拘束に関する続報はない。補足記事がちらほらと上がっているのみ。
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050511k0000e040058000c.html

<斎藤昭彦さん>外人部隊に21年半 「歴戦の兵」の素顔


 【カイロ福島良典】イラク武装勢力に拘束されたとみられる日本人の斎藤昭彦さん(44)は昨年末まで21年半にわたり、勇猛果敢な精鋭部隊として知られるフランス軍の外国人部隊に所属していた。元上官の証言からは、バルカンからアフリカまで各地の紛争地を渡り歩いた「歴戦の兵(つわもの)」の素顔が浮かび上がる。だが、なぜ知己の多かった同部隊を後にし、民間軍事会社のセキュリティーコンサルタントとして武装勢力の暗躍するイラクに向かったのか、転職の真意は謎に包まれている。
 外国人部隊司令部によると、斎藤さんは83年6月に入隊。地中海に浮かぶコルシカ島を拠点とするエリート部隊の第2空てい連隊に配属され、4年後には伍長となった。その後の主な配属先は第3歩兵連隊(ギアナ)、太平洋連隊(タヒチ)など。地雷の敷設・除去の専門家、若手の訓練・教育係としても活躍したという。
 昨年12月に外国人部隊を辞めるまでは南仏マルセイユの東約20キロのオーバーニュにある司令部で上級特務曹長として働いていた。「外国人部隊の中では非常に高い階級」(関係者)という。斎藤さんはフランス語が堪能だったことから、日本人の入隊志願者の面接通訳官も務めていたという。
 同司令部で約2年間、斎藤さんの上官だったクリスチャン・ラスクル少佐(41)は毎日新聞の電話取材に「斎藤さんはアフリカやボスニア紛争などで戦闘作戦に加わった。外国人部隊は仏軍が参加するやや激しい作戦には常に投入される」と語り、斎藤さんの実戦経験が極めて豊富だったことを明らかにした。
 外国人部隊での斎藤さんの人柄や仕事ぶりへの評価は極めて高い。ラスクル少佐は「兵士として、人間として非常に尊敬され、外国人部隊では傑出した人物として有名だった」「任務中も休暇中も規律正しく、彼がいなくなるのは残念だった」と振り返る。
 外国人部隊は入隊後は原則として隊員の過去を問わない世界だ。ラスクル少佐は「残るも去るも個人の意思」という。適性がないと見なされた場合には5年間の契約が更新されない場合もあるが、「斎藤さんの場合は評価が高かったので続けられたが、個人の意思で辞めた」という。
 昨年末に部隊を去ったことについて同少佐は「新しい生活を始めようとして辞めたのでは。独身だった斎藤さんが家庭を持つためではないかと想像した」というが、「理由は議論しなかった」。斎藤さんが「控えめで、自らの将来などについておしゃべりでなかった」こともあり、イラク行きについて語るのを耳にしたことはなかったという。
 元同僚だった斎藤さんが「イラクで拘束され、負傷している」とのニュースは司令部で瞬く間に広がった。ラスクル少佐は「外国人部隊には斎藤さんの友人が大勢いる。彼の運命はすでに部隊、フランスの手を離れてしまっているが、皆が無事に解放されることを祈っている」と話している。
 【ことば】仏軍外国人部隊 外国人兵士で構成された特殊部隊。仏陸軍に所属する。創設は1831年。第二次大戦後はインドシナ戦争アルジェリア戦争湾岸戦争などに投入された。現在の兵員は約7600人。うち日本人は約40人。入隊試験は数週間に及び競争率は約8倍。1回の契約は5年間で、数回の更新が可能。
毎日新聞) - 5月11日14時17分更新