ロック岩崎氏、練習飛行中に墜落事故で死去

仕事中になにげなくブラウザを開き、ニュース速報を読んで凍りついた。
携帯電話を持ってビルの外に出てから、深呼吸して実家に電話をした。
とにかく今すぐ、身近な誰かとなにか話さないといたたまれない気分だった。


百里の官舎に住んでいた頃に、そんなことが何回かあった。
遅い時間に救難隊のヘリが離陸したり、父がシフト通りに帰宅しないことで異変を察知する。
そのうちにテレビのニュース速報が流れて、はじめて何が起こったかを知る。
あの脅かすような速報のアラーム音は今でもだいきらいだ。
父の定年退職でそういう世界とも縁が切れたと思っていた。



去年は里帰りも兼ねて、百里航空祭に行った。
それはそれはひどいどしゃぶりで、サンダーバーズもブルインもフライトなんて出来ないだろうな。
と弟と愚痴りつつ、裏道を駆使してようやくたどり着いた。
灰色の雲はまったく動かず、雨も上がる気配がない。
フライトもないし、もう帰ろうかと思っていた頃に小さなちいさな飛行機がトコトコと滑走を始めた。
もともと予定になかったのに、ロック岩崎スペシャルサービスで演技飛行を披露することになったのだった。
キリモミ落下から上昇、ループなど、スリリングな技をこれでもかと繰り出す飛行を初めて目の当たりにした。
写真なんて撮ってるヒマはなかった。


子供の頃にひみつ基地を作ったりして、立入禁止になっていた裏山を抜けて官舎に行ってみた。
山は一部が切り開かれ、一軒の家が建っていた。
岩崎さんがそこにログハウスを建てたのだと聞いて驚いた。


今年こそは青空の中でピッツを見たかった。
いちばん落ちそうにないパイロットだと勝手に思っていた。
とにかく残念でならない。まだ、どこかの空を駆け続けていると信じたい。