坂口三千代『クラクラ日記』(ちくま文庫)

坂口三千代「クラクラ日記」

ちくま文庫から出ている坂口安吾の奥さんの手記。中古市で昨日買ったのをさっそく電車の中で読み始めた。
「3人では幸せになれない」とアッサリと前夫との子を捨てて安吾のもとへ走り同居を始めたあたりから修羅の道行きが想起され、その後は良き夫と悪鬼羅刹を行ったり来たりする安吾の所業と生活ぶりが淡々と綴られている。安吾の言動の極端さと理不尽さの凄まじさに半ば呆れ返りながらも実に楽しませて戴いた。読者としては極端であればあるこそ面白い。ノンフィクションだとしたらなおさらの事。
安吾の当時の奇矯な言動が逐一マスコミに流れていたのを三千代さんはずいぶん気に病んでいたようで、事実がどうであれ世間に流布されたものが一般の真実となって当事者が振り回されるのは今も昔も同じであるようだ。
「クラクラ日記」「坂口」でGoogle検索してみた。

  • ”クラクラ”は頭が〜ではなく、フランス語の野雀の意。安吾没後に銀座で三千代さんが経営した店の名前。
  • 昔ドラマ化された。 キャストは三千代役に若尾文子安吾役に藤岡琢也