大辻清司の写真 出会いとコラボレーション

http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/museum/20070605_ootuji.html
渋谷の松濤美術館で『大辻清司の写真 出会いとコラボレーション』展を見てきた。当方の勉強不足で存じ上げない写真家だが、先日カタログを見る機会があって興味が湧いた。まとまった展示が見られることもそうないだろうし、入場料が安かった(300円)というのも後押しになっている。大辻清司氏の活動については、1999年の展覧会「大辻清司写真実験室」の案内が分かり易い。
土門拳が提唱したリアリズム写真とは対照的に、前衛芸術としての写真、また写真以外の前衛美術との関わりが深い作品を数多く制作していた方であるようだ。氷紋や航空機の撮り方などは自分と似通ってる部分があって親近感が湧いた。写真に関する数多い評論活動の紹介として、当時のアサヒカメラ連載の記事がほぼ1年分展示されていて、考え方や人となりを知るための良い手がかりとなった。この記事は読み応えがあってカタログ(asin:4845907097)にも展示同様収録されている。(連載記事全てではなく、何回分かは抜いてあるらしい)。そのような過程を経て、徐々に芸術のための写真から街のスナップショットに興味の軸足が変遷していく様もつぶさに現されていて、丁寧な構成に好感を持った。