暗室に入る

スタジオで人の出入りがあったらしく、引伸ばしレンズが減っていた。ローデンシュトックは全て引揚げられて、50ミリの引伸ばしレンズはニコン以外置いてないので借り物のフジノン50ミリf2.8 を持参した。最近モノクロを撮っていないので焼くものがないなアと思いつつ暗室に入ったが、フジのティアラで撮りかけて2年くらい放置してたネガをベタ焼きしたら大当たりのコマがあった。落合にある内田百輭のお墓に行く途中で見つけた廃墟で猫が寝ている写真。プリントもうまくいって満足だが、どうみても地味としか言いようの無い写真。何故これをすごく気に入ったのか人に説明できない。プリントを先生に見せたら「これは秋の夕方で日が暮れかけた頃かな」と撮影状況をバッチリ当ててしまったのには驚愕した。プロの眼の凄さを思い知らされた。