熱川バナナワニ園(伊豆半島)でワニ見学

バナナワニつってもそんな種類のワニがいるわけではなくて、バナナがたわわに実り、その下をワニがのっそり歩いてるところをお散歩する施設です。・・・嘘です。『Jackass』の連中だってそんなことしねーよ!
当初は群馬の「スネークセンター」に行くつもりが、毒ヘビマニア垂涎の「コブラ祭り」は夏休み企画のため、8月末で終了。その件をドライバーである同行者(毒ヘビ好き)に申し述べたところ、傍目でも気の毒なほど肩を落として(電話なので見てないけどたぶん)ガッカリしていた。憧れの世界最凶毒ヘビ「ブラックマンバ」を生で見る絶好の機会を逃して、テンションはどん底に。
そんな状態で長距離の運転をしてほしくないので、代わりに「バナナワニ園」行きを提案してみた。当初は興味薄そうだったが、世界最大のナイルワニが見られると分かった途端に即決。「危険動物」「世界最強」に弱い同行者の好みを熟知してのプレゼンテーションが効を奏したようだ。
選挙に行ってから9時に中野を出発。東名から小田原有料道路、箱根ターンパイクを登って伊豆有料道路?に入るつもりがヘボナビゲータ(自分)が道を間違え、海岸沿いに熱川まで下る。たいした混んでもいないのに現着は13時半。まあとにかく有料道路の多さに驚いた。東京に近い観光地だけあって整備しつくされた道路網。東北人には信じられない。(東北だと国道なのに砂利道とかフツーにある)
じめじめ湿っぽい谷間に白いコンクリ作りの建物があり、広い駐車場には車がぽつぽつと止まっていた。このぐらい空いていたほうが見るほうには有難い。温泉街の至る所から自噴泉の湯気がもうもうと上がっていた。入場料の大人1300円を払って施設の中へ。2階からふと外を覗くと、とんでもねえ大きさの魚が泳いでいる。苔に覆われたピラルクが3匹。

ワニプールは施設に隣接して野外にある。大まかに6つ、さらに中を網で仕切られて種類ごとにワニが入っている。活動的とは言いがたいワニたちがでろーんびろーんと水に浮いたり寝そべったりしている。なぜか口を開けっぱなしの個体もいた。さすが世界一のコレクションと謳うだけあって見ごたえ十分だが、ワニに興味がなければワニばっか。でおしまいである。えさは大型個体は鶏一匹丸ごと、小ワニはカレー用くらいの肉片。鶏をくわえ込んだまま地面にへたってるのもいた。

ワニだらけを満喫したら道路を渡って植物園へ。咲き誇るブーゲンビリアがお出迎え。熱帯の植物を中心に、広い温室を順路に沿って歩いていく。唐突にアマゾンマナティーの水槽が登場。人魚伝説の解説もあったが、何度見ても人魚のイメージと目の前の動物が結びつかない。人魚と間違えた奴は、乱視か極度の欲求不満か陸に残した妻子がよほど気がかりだったに違いない。黒い塊りはニンジンや白菜を泳ぎながらむしゃむしゃ食べていた。
温室というくらいなのでとにかく蒸し暑い。植物園は今までいくつか行ったことがあるが、既知のと比べて植物というか生き物がみっちり詰まっている印象。女性向にキレイな花ばかり置いてるという感じがしなくて、最初のほうこそハイビスカスなどで華やかだが、奥に進むにつれて、一歩間違えるとホラーになりそうな陰鬱な空気が流れているように思えた。でもそれは「食虫植物温室」の印象に負うところが多いかもしれない。温室内に更に温室があり、薄暗い空間にウツボカズラやら何やらの鉢が隙間なくぶらさがっている。江戸川乱歩の小説にでも出てきそうな絵だった。

アフリカの密林ゾーンを越えて階上に進むと、絵本にでも出てきそうな庭園が広がっていた。あまりの開放感に思わず笑ってしまう。だだっぴろい池にスイレンがポカンポカンと咲いている。これもまた種類があることあること。このたたみかけ感がこの施設の特徴。更に上階には図鑑でしか見たことのないオオオニバスの池が広がっていた。でかすぎてきもち悪い。他に客があまりいないので、無音に近い空間。現実感のない光景だった。

次はバスで別館に向かう。こちらにはもうひとつの名物であるレッサーパンダを飼育している。他にも温室や放鳥ゲージがあるのだが、とにかくどこを見てもレッサーパンダ。名札をみるとことごとく「当園生まれ」とある。ぜんぶ血縁なのだろうか。顔に模様があるのが普通かと思ってたが、顔の毛が真っ白のバカ殿みたいなのもいた。でべっと寝てる奴、ひたすらうろうろしてる奴、隣に喧嘩売ってる奴、木登りする奴とさまざま好き勝手に動いている。芸をする気配はないのでしつこく立ち止まってる人もいない。あとで調べたら正確にはニシレッサーパンダという種類で、日本では唯一の飼育施設なのだそうだ。出自については納得。→公式ページへ
お土産屋をひやかしてから退出。空腹が耐え難くなった同行者が定食屋を探し当て、ちと早い晩飯を摂る。自分はマグロ山掛け定食。赤身の魚はあまり好まないのだが、今まで食べた中でいちばん美味しかった。ひじきは太くて食べでがあって、味噌汁のワカメは磯の香りがした。地物を満喫。たいへん満足した。
復路は雷雨の中を伊豆有料道路〜箱根ターンパイク〜小田原からは往路と同じルート。雷が光る中でどんどん山を登っていくつも峠を越えるのは正直怖かった。今年の夏は近いカミナリにやたら遭うのだ。いつか自分に落ちるんじゃないかと気が気じゃない。怖いのでクレイジーケンバンドの『SOUL PUNCH』をかけて、バカな唄をつとめて陽気にがなりながら帰った。
あとで計算したら、道路代だけで往復6000円かかっていた。有料道路網が発達してて便利だけど高くつくことを学習した。