肌ざわり/尾辻克彦

肌ざわり (河出文庫)

肌ざわり (河出文庫)

1979年の中央公論新人賞受賞作。この後に『父が消えた』で芥川賞を受賞。
奇妙な舌触りの短編集。作家の視線の先にある対象を一緒に見ているうちに、常識の裏側にぬるりと滑り込んでいくような、現実から少し足を踏み外したような眩暈を覚える。
この頃の小説もいいけど、最近のだと赤瀬川原平名義で書かれた『ゼロ発信 (中公文庫)』がいちばん好きで何度も読み返してしまう。読み終わってから、なにげなしに適当なとこからまたパラパラと読めるくらいの淡い味付けでアタマにもたれない。末井昭さんが日記をつけ始めるきっかけになった作品なのだそうだ。