『ヨコハマメリー』テアトル新宿レイトショー

公式サイト:http://www.yokohamamary.com/yokohamamary.com/
戦後をどっぷりとひきずりながら40年間、街で生きる「メリーさん」という女性に関する街の人の証言を通して、かつてのヨコハマに何があったのか、何が起きていたのかということを丁寧に掘り起こしていく制作方法に好感が持てた。
横浜という街について私が知っていることはあまり多くない。貴重な近代建築が現役で使われていて、クレイジーケンバンドの本拠地、そして中華街から程近いところに寿町というドヤ街がある。というくらいのものだ。実際に観光客として足を運び、アンティークショップでオキュパイドジャパンという刻印のある人形が売られているのを見て、心の中になにがしかの澱が降り積もるような感覚があった。快とも不快ともつかない、見てはいけないものを見てしまったような、でも目をそらしてはいけないような「現実にあったこと」。明治時代の開港以来、日本人と異国の人々の交歓と諍いが繰り返されてきた横浜という街が持つ陰影の魅力の源泉はそのへんにあるのではないだろうか。
東洋一のサウンドマシーンを自称し、凄まじい咀嚼力でもって様々なスタイルの楽曲を生産しつづけるクレイジーケンバンドのバックグラウンドを理解するためのサブテキストとしても良い資料であるように思う。渚ようこが唄う主題歌『伊勢佐木町ブルース』は CKB のっさんがギターで参加している。上映劇場限定での販売だけど、テアトル新宿では入場口で売ってくれた。