Musical Baton 追記

6月21日の項で触れた "Musical Baton" の選曲について補足。


Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me (よく聞く、または特別な思い入れのある5曲) 
という設問があり、そんなん選びきれませんて。というのをムリヤリ絞るのが面白かったのだが、あえてここでは「カツカレー的においしい」という縛りを設けて、その中から5曲を挙げた。
「カツカレー」とはムチャな例えだが強引に説明すると、オリジナルの楽曲をトンカツとすれば、カバーしたミュージシャンのアレンジをカレーと見立てて、一皿で二つのおいしさが味わえるという意味で使っている。あと、選曲の傾向としてスタジオ録音のオリジナルバージョンよりもライブ盤・海賊盤に収められたラフなアレンジを好むという偏向が見られることを断りとして挙げて置きたい。


Wah-Wah [Live] / George Harrison & Friends / The Concert For Bangla Desh
 George Harrison と Leon Russell の人脈を総動員して、英米の腕っこきミュージシャンを集めて世界初のチャリティーコンサートをマジソンスクエアガーデンで行なった伝説のライブ盤。オリジナルは Phill Spector 風味だが、こちらのバージョンを Naked 版として楽しむという観点もアリだと思う。


Hold Me Tight [outtake] / Todd Rundgren / Somewhere/Anywhere? (Unreleased Tracks)
 元曲は The Beatles 初期のコーラスワークが楽しい佳曲。Todd が仲間とジャムってて勢い一発でやっちまった感じがたまらなくいい。


What'd I Say [Live] / Jimi Hendrix / The Complete PPX Studio Recordings
 元曲は Ray Charles の大ヒットシングル。映画「Ray」でも大々的に使われていた。間奏のコーラスの掛け合いがセクシー。これをジミヘンがやったらどうなるか?ってそりゃもうぶっ飛びですよ。しかし女性コーラス(もちろん愛人)が居ない分だけ、セクシーさは減ったけど。クレジットを見てないので誰だかわからないのだけど、ドラムがめっちゃラウドでなおかつタメをもたせた演奏でグルーヴィーさが増しているように思う。デビュー前のドサ回りでレパートリーにしてたのかとか勝手に想像して楽しんでいる。(ちゃんと調べろってな) 余談になるが、R&B方面はスタンダード化した楽曲が多過ぎて、誰がオリジナルなのかいちいち調べないと分からないのでうっかり言及しないようにしている。


塀までひとっとび / 野宮真貴Super Butter Dog / DISCOVER THE SONGS | J-STANDARD。
 元曲はサディスティック・ミカ・バンド。なにかでこの曲のライブ映像を見たらアルバムと演奏のクオリティが変わらない。ぜんぜんブレがないのにびびった。そりゃあ幸宏さんに小原礼さんに高中さんだもんなあと納得。んで、それをカバーしたのはピチカート・ファイヴの歌姫と日本屈指のファンク・バンドのバタ犬さん。これでファンキーにならないわけがない!ただ元曲の持つキチガイじみた味は多少薄れた感があるが、これはボーカルの特性上しかたないと思われる。このアルバムはタワレコ限定発売。


Simple Song / The Meters / THE METERS [1st]
 元曲は Sly & The Family Stone の爛れるように熱いファンク。これをニューオーリンズのファンクバンドがカバーすると熱っぽさは少し取れてちょっと泥臭くいたなくなるのだが、そのスカした感じがなんかいい。
 この曲には極私的な思い出がある。学生の時に拾ったカセットテープにこの曲が入っており、部室で聴いて一発でイカレタのだけど当時インターネットはまだ普及しておらず、いったい誰の曲なのかずっと煩悶していた。5年くらい後、ロフトプラスワン大瀧詠一さんがらみのイベントに行って「福生ストラット」のパクリ元として名が挙がったミーターズを知って、試しにアルバムを買ったらそこに答えがあったのだった。先達とはあらまほしきことなり。


ほかにも好きなカバー曲はたくさんあるけど、あまり人が挙げなそうなところを狙って書いてみた。こうやって書いてみると考えがまとまるので普段からもっとそうするべきだと思った。機会を与えてくれた Musical Baton と回してくれた人に感謝の意を表したい。